インタビュー

「蔵ステイ池森」池森典子さんにインタビュー

日本酒バー併設のゲストハウスで氷見を盛り上げる

新鮮な魚はもちろん、山の幸にも恵まれた富山県。北アルプスの清冽な水を生かし、すっきりと飲み応えのある日本酒も多く作られています。

富山県氷見市の商店街にある「蔵ステイ池森」は、県内の地酒を含めた日本酒バーを併設したゲストハウス。「典子ママ」と親しまれている池森典子さんが、シャッターが降りている店舗が目立っていた商店街を盛り上げようと、2019年10月にオープンさせました。

今回、どんな思いで「蔵ステイ池森」を始めたのか、新たにどんな事業を手掛けているのか。池森さんに聞きました。

 

 

池森典子(いけもり・のりこ)さん/富山県氷見市出身。氷見温泉郷の「湯の里いけもり」を家族経営する傍ら、日本酒バーを併設したゲストハウス「蔵ステイ池森」を運営。2022年9月にはユニバーサルデザインの上質宿「別館 AMAZA」もオープン。

 

「氷見愛」が強い人がたくさんいます

 

 

私は氷見生まれの氷見育ち。「なぜ富山なの?なぜ氷見なの?」と改めて聞かれると困ってしまいますが、海も山もあって、食べ物がおいしい氷見が大好きなんです。周りを見渡しても「氷見愛」が強い人がたくさんいますね。

 

 

氷見市の商店街のど真ん中に、日本酒バーを併設したゲストハウス「蔵ステイ池森」を2019年10月にオープンさせました。

 

 

地酒18種類をはじめ、ビールやワインなどあわせて50種類ほどのメニューを用意。私は唎酒師(ききざけし)の資格を取得しているので、お客様のお好みにあわせた、富山の美味しいお酒をご紹介しています。

 

 

また、高岡の伝統工芸である錫製品、岩瀬のレースガラス細工の器といったこだわりの器でご提供しているので、目でも美味しさを味わっていただきたいと思っています。

 

やはり多くが日本酒目当てでいらっしゃるので、40〜60代のお客様が多いですが、一人でふらっと寄ってくださる若いお客様や、韓国や台湾といった海外からのお客様もいらっしゃいます。

 

 

氷見全体はまだインバウンド需要の恩恵を受けているとは言い難い地域ですが、旅のサブスク「HafH(ハフ)」を使って泊まったり、県と一緒に海外で観光PRを行ったときに出会ったお客様がいらっしゃったりと、顔が見える関係性が続いているのが嬉しいです。

 

 

47歳で一念発起。「私が氷見の起爆剤に」

そもそもなぜ「蔵ステイ池森」を開いたのか。

私は21歳のときに、山里にある氷見温泉郷「湯の里いけもり」に嫁ぎました。若女将として必死に仕事を覚え、とにかく目の前の仕事をこなすことで精一杯の日々。気がつけば20年以上、旅館業に従事してきました。

 

宿を訪れるお客様に「ご飯が美味しかった。温泉もよかった。次に行った方がいいところはありますか?」などと聞かれる度に、氷見フィッシャーマンズワーフ海鮮館(※2012年に閉鎖)ぐらいしか挙げることができなくて。

昔はお買い物といえば商店街だったのに、市内の商店街は大型ショッピングモールに客をとられて、シャッターが降りている店舗が目立ちはじめて。「このままでは氷見が死んでしまう。誰か氷見を盛り上げてくれないかな」と、氷見を愛する人間としてずっと思っていたのですが、時ばかりが過ぎていきました。

 

 

長女が「湯の里いけもり」の若女将として一人立ちし始め、少し私自身に余裕ができたときに、おこがましいかもしれないですけど、自分が起爆剤になろうと思いました。47歳のときです。「湯の里いけもり」の業務もしながら、商店街のど真ん中に「蔵ステイ池森」をつくりました。

 

 

ただの「泊まる場所」ではなく、対面で人と話せる場所を作りたかったんです。商店街から一本入った路地にある飲食店に足を踏み入れるためには、「案内してくれる人」がやはり必要だと思いましたし、氷見の魅力や周辺の飲食店をご案内するにしても、語る場がないと絶対的な満足度は得られないと思っていましたから。

点と点をつなげて面にするーー。そんな観光を地道に続けています。「日本酒が好きだから」「氷見のブリを食べにきた」とやってくるお客様も、2回、3回とリピートしてくださったり、氷見をどんどん好きになってくださったりしている実感がようやくでてきました。

 

「別館AMAZA」やバレルサウナもNEWオープン

さらに、2022年9月には「湯の里いけもり」にユニバーサルデザインの上質宿「別館 AMAZA」をオープンしました。

お部屋は〈SORA〉と〈MIRE〉の2部屋。高い天井とユニークな空間デザインが印象的なゲストルームは、平屋の木造伝統建築を活かしたリノベーションで、落ち着いた雰囲気のなかに遊び心をくすぐるモチーフがちりばめられています

 

 

AMAZAではお出しする「情土料理」や「日本酒」にもこだわりました。天然塩やオリジナル発酵調味料、香草などを積極的に使い、季節の食材の旨味や風味を存分に引き立てるよう、試行錯誤を重ねて生まれたお料理と日本酒をお楽しみいただけます。

 

 

また、最近は「サ活」と言われるほどサウナの人気が高まっていますよね。「湯の里いけもり」の露天風呂にもフィンランド式バレルサウナを設置しました。

女性は90度、男性は100度近い温度になりますが、程よく湿度もあり、お客様の満足度は高い環境。セルフロウリュや水風呂は温泉成分がそのまま入った温泉水を楽しむこともできます。

 

 

ここまでいろいろとご紹介してきましたが、正直、富山の魅力は1日では絶対に分かりません。自然豊かで、食べ物がおいしくて、面白い人や一流のプロフェッショナルが実はたくさんいて……。まずは足を運んでみてください。きっとそのから皆さんの「富山愛」が深まっていくと思います。

※取材は2023年9月上旬です。

記事の制作に関わった方をご紹介

文:五月女菜穂 (株式会社kimama)

神奈川県横浜市在住。1児の母。大学卒業後、朝日新聞社に入社。新聞記者として幅広く取材経験を積む。2016年に独立し、ウェブや紙問わず、取材・執筆・編集・撮影を行う。22年4月、合同会社アットワールドを起業し、旅好きのフリーランスが集まるコミュニティ「@world」を運営。23年5月、編集プロダクションの株式会社kimamaを創業。世界一周経験者で、渡航歴は45カ国超。